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個人の反乱:12のイノベーション・ウェーブ (The 12 Innovation Waves) が予見した「デジタル・アンバンドリング」と検索経済

更新日:1月14日

「みんなと同じものを見る」時代から、「自分が見たいものだけを見る」時代へ。第3次産業革命期は、巨大なマスメディアがデジタル技術によって解体(アンバンドリング)されていくプロセスでした。

「12のイノベーション・ウェーブ (The 12 Innovation Waves)」の第7波から第10波は、コンピュータとインターネットがいかにして権力を個人に取り戻させ、そして既存メディアの収益構造を破壊したかを物語っています。


1. マスの解体と選択の自由(第7・8の波)


コンピュータとIC(集積回路)の進化は、メディアを細分化しました。ケーブルテレビの登場により、「全米が見る番組」から、ニュース(CNN)や音楽(MTV)などの「専門チャンネル」へと好みが分かれ始めました(セグメンテーション)。


さらに決定的だったのが、VCR(ビデオデッキ)やウォークマンです。これらは、放送局が決めた「時間」と「場所」の束縛から私たちを解放しました 。録画してCMをスキップする。好きな音楽を外で聴く。メディア消費の主導権が、送り手から受け手へと移り始めたのです。


「私の時間」は「私のもの」。タイムシフトと個の時代の始まり。
「私の時間」は「私のもの」。タイムシフトと個の時代の始まり。

2. ネット、検索、ロングテール(第9・10の波)


そして90年代、PCとインターネット(Web)が世界を変えます。最大の影響はコンテンツの「アンバンドリング(バラバラになること)」です。 新聞は「1枚の記事」に、音楽アルバムは「1曲」に解体され、私たちは欲しい部分だけを検索して消費するようになりました 。


AmazonなどのECサイトは、物理的な棚の制限を取り払い、ニッチな商品でも利益が出る「ロングテール」モデルを確立しました 。一方で、新聞社のドル箱だった「案内広告(三行広告)」は、Craigslistなどの無料サイトに代替され、旧来メディアの収益基盤は崩壊しました(Craigslist効果)。


3. 歴史的メディア活用事例


この時代の「個の力」を象徴する事例です。

事例:Amazonと「ロングテール」


実店舗の本屋では、売れ筋のベストセラー(ヘッド)しか置けません。しかしAmazonは、年に数冊しか売れないマイナーな本(テール)を何万種類も扱うことで、ベストセラーに匹敵する売上を作ることを証明しました。 これは「検索」という技術があって初めて成立した、Web特有の勝利の方程式です。



4. 結論:検索エンジンの覇権

第7〜10の波は、メディアの流通コストを極限まで下げ、「検索」を新たな王座に就かせました。しかし、12のイノベーション・ウェーブ (The 12 Innovation Waves) はここで止まりません。ポケットの中の「あのデバイス」が、私たちの脳をハックし始めるのです。


塵も積もれば山となる。「ロングテール」が変えたビジネスの常識。
塵も積もれば山となる。「ロングテール」が変えたビジネスの常識。

メディアと技術の変遷

時代区分

イノベーションの波

基幹技術

メディア・ビジネスモデルの変遷

社会的・マーケティング的インパクト

第1次

1. 蒸気と工場

蒸気機関

受注生産 → 見込み生産(新聞)

情報の同期性、ニュースの商品化


2. 鉄道と輸送

鉄道・電信

高価格紙 → ペニープレス(広告モデル)

アテンション・エコノミーの萌芽、市場の全国化

第2次

3. 鉄鋼と化学

化学染料

文字情報 → 色彩(ポスター、パッケージ)

イメージ広告、消費文化の形成


4. 電力と通信

電話・写真

文字報道 → 写真報道(イエロー・ジャーナリズム)

視覚的衝撃、通信による速報性


5. 大量生産

ラジオ・生産ライン

点のメディア → 放送(スポンサーシップ)

ナショナルブランドの確立、ながら消費


6. マスメディア

テレビ

ラジオ・映画 → TV(マス広告モデル)

視聴覚の占有、受動的消費の極致

第3次

7. コンピュータ

トランジスタ

マス → セグメンテーション(専門誌)

データ処理の産業利用


8. ICと自動化

IC・VCR

放送 → 多チャンネル・時間シフト

メディアの細分化、個人の選択性の向上


9. PC/ネット

PC・Web

物理在庫 → ロングテール(EC)

制作・流通の民主化、物理制約の撤廃


10. Web/EC

検索・ブロードバンド

パッケージ → アンバンドリング(検索広告)

検索経済、既存メディア(新聞等)の収益崩壊

第4次

11. モバイル

スマホ・SNS

検索 → フィード(ターゲティング広告)

常時接続、アルゴリズムによるアテンション支配


12. AIとIoT

生成AI・エージェント

アテンション → インテンション(代理消費)

デジタルメディアの代替、真正性の回帰、Zero UI

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