top of page
MSL

色が生まれ、夜が輝き、音が響く。「12のイノベーション・ウェーブ (The 12 Innovation Waves)」に見るマスメディアの黄金時代

更新日:1月14日

前回の記事では、蒸気と鉄道が広告を全国区にした話をご紹介しました。 今回は「12のイノベーション・ウェーブ (The 12 Innovation Waves)」の第3波から第6波、すなわち第2次産業革命期に焦点を当てます 。この時代、広告は劇的に「派手」になり、人々の生活の隅々にまで浸透していきます。


3. 「鉄鋼と化学」の時代:世界がカラーになった

1840年代から1860年代、化学工業の発展により「合成染料」が登場しました 。これが広告に革命をもたらします。


色彩によるアテンション獲得

それまで白黒が当たり前だった世界に、鮮やかな多色刷りのポスター(クロモリトグラフィー)が登場しました 。ミュシャやロートレックのような芸術的なポスターが街を彩り、「色彩」そのもので人々の目を引く戦術が確立されました 。 また、商品を包むパッケージも進化しました。ブリキ缶やカラフルな包装紙は、商品そのものを「広告塔」に変え、店頭での識別を容易にしました 。


鮮やかな色彩のアール・ヌーヴォー調のポスターが貼られた円柱広告塔
鮮やかな色彩のアール・ヌーヴォー調のポスターが貼られた円柱広告塔

4. 「電力と通信」の時代:24時間眠らない広告

1870年代以降、エジソンの発明などにより「電力」と「電灯」が普及します 。


夜の街を彩るネオンサイン

電灯の発明は、夜間の広告活動を可能にしました。電飾看板やネオンサインの登場により、ブランドは24時間輝き続けることができるようになりました 。ニューヨークのタイムズスクエアの原型は、この時代に作られました 。


「もしもし」から始まる広告ビジネス

電話の普及は「電話帳(イエローページ)」という、消費者が自ら情報を探す「検索型」広告の元祖を生み出しました 。さらに、電話や電信による遠隔コミュニケーションが可能になったことで、広告代理店が組織化され、クリエイティブ制作から媒体枠の購入までを請け負う「エージェンシーモデル」が確立されました 。


5. 「大量生産と自動車」の時代:買うべき「理由」を語る

20世紀初頭、フォードのT型フォードに代表される「自動車」と「大量生産」の時代が到来します 。


ロードサイドの看板と「Reason Why」

自動車の普及は、道路沿いに巨大な看板(ビルボード)を林立させました 。ドライバーに向けた、一瞬で伝わる広告です。 一方、大量生産でモノが溢れる中、「なぜ他社ではなく、これを買うべきか」を論理的に説く「理由(Reason Why)」型広告や、「他にはない独自の売り(USP)」を訴求する戦術が主流となりました 。


6. 「マス・メディアと家電」の時代:お茶の間に「音」が届く

1920年代から、いよいよラジオと映画(トーキー)の時代です 。


ラジオCMとジングル

ラジオは、識字率に関係なく、家庭のリビングに直接メッセージを届けられる画期的なメディアでした 。企業は番組のスポンサーとなり(例:P&Gの昼ドラ「ソープ・オペラ」) 、ブランド名をメロディに乗せた「ジングル」で消費者の記憶に刷り込む戦術をとりました 。


大きな木製のラジオを囲み、流れてくる番組やCMに耳を傾けている
大きな木製のラジオを囲み、流れてくる番組やCMに耳を傾けている

この時代の代表的な広告事例

このダイナミックな時代の事例を2つ紹介します。


① Burma-Shave(バーマ・シェイブ)の連続看板


自動車時代の到来を象徴する広告です。道路脇に一定間隔で小さな看板を立て、車で走りながら読むと一つの詩(ユーモアのある広告コピー)になるという仕掛けです。ドライブそのものを楽しませる画期的なアイデアでした。


  • 解説: 実際の看板がどのように並んでいたかや、有名なコピー(詩)の数々を紹介する動画があり、当時の「ロードサイドジャック戦術」の巧みさが分かります。



② Wheaties(ウィーティーズ)のラジオCM


シリアルブランドのウィーティーズは、「Breakfast of Champions(チャンピオンの朝食)」というキャッチフレーズとジングルを使い、スポーツ中継とセットで宣伝を行いました。音による刷り込みと、スポーツというエンターテインメントを組み合わせた初期の成功例です。


  • 解説: 昔のラジオCMの音声や、当時のスポーツ選手を起用した広告の歴史を解説する動画で、ラジオ時代の「音の広告」の雰囲気を感じ取れます。



こうして広告は、視覚(ポスター・看板)から聴覚(ラジオ)へと領域を広げ、大衆消費社会のエンジンとなっていきました。

次のページ


前のページ


この特集の目次










コメント


(C) 株式会社マーケティングサイエンスラボ

(C) MSL,2020-2025

bottom of page