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AI時代のその先へ:「12のイノベーション・ウェーブ」から学ぶ未来のマーケティング論

はじめに:変化を恐れないための歴史観


ここまで4回にわたり、「12のイノベーション・ウェーブ (The 12 Innovation Waves)」を通じてマーケティングの進化を追ってきました。 蒸気機関から始まり、鉄道、電力、マスメディア、PC、ネット、そしてAIへ。技術が変わるたびに、マーケティングのルールは書き換えられてきました。 今、生成AIの登場により、「人間の仕事がなくなるのではないか」という不安が広がっています。しかし、歴史を振り返った私たちには、別の景色が見えているはずです 。


1. 「コンテナ」が変われば「コンテンツ」が変わる


この連載で伝えたかった最大のメッセージは、「技術(コンテナ)の変化が、マーケティング(コンテンツ)の変化を生む」という法則です。 最近のマーケティングの変化、例えば「テレビCMの効果が薄れた」とか「ショート動画が流行っている」といった現象は、消費者の気まぐれではありません。スマホというデバイスと、高速通信というインフラ、そしてアルゴリズムという技術が引き起こした必然の結果です。 12のイノベーション・ウェーブを理解していれば、この変化は「想定内」の出来事です。技術の特性を知ることは、未来のマーケティングを予測することと同義なのです。


技術(コンテナ)の変化が、マーケティング(コンテンツ)の変化を生む
技術(コンテナ)の変化が、マーケティング(コンテンツ)の変化を生む

2. AI時代のマーケティングの本質


AIは「知的労働の自動化」をもたらします 。かつて機械が肉体労働を代替し、コンピュータが計算を代替したように、AIは「予測」や「最適化」、「パターンの生成」を代替します。 では、AI時代の先のマーケティングとはどうなるのでしょうか? それは、「AIを理解し、使いこなすこと」に尽きます。恐れる必要はありません。AIは強力なツールですが、あくまでツールです。 データ分析やターゲティングの最適化はAIに任せればいいのです。そうすることで、人間は人間にしかできない領域――例えば、データには表れない微細な感情の機微を読み取ること、倫理的な判断を下すこと、そして全く新しい価値観(ブランドの物語)を創造すること――に集中できるようになります。


3. 技術を知ることは、人間を知ること


「生産技術」や「コミュニケーション・テクノロジー」の理解は、マーケターにとって必須の教養です。なぜなら、現代の顧客体験(UX)のほとんどは、技術によって媒介されているからです。 SNSでのコミュニケーションも、ECサイトでの購入も、すべて技術の上に成り立っています。12の波を理解することは、今の顧客がどのような環境に置かれ、なぜそのように行動するのかを深く理解することに繋がります。


結論:波を乗りこなせ


12のイノベーション・ウェーブは、これで終わりではありません。次なる第13、第14の波が必ずやってきます(それは量子コンピュータかもしれませんし、ブレイン・マシン・インターフェースかもしれません)。 しかし、どんな波が来ても、本質は変わりません。「技術が何を変えるのか」を見極め、その新しい環境の中で「顧客に価値を届ける最適解」を見つけ出すこと。それこそが、いつの時代も変わらないマーケティングの使命なのです。


「顧客に価値を届ける最適解」を見つけ出す
「顧客に価値を届ける最適解」を見つけ出す

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