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【第1次産業革命】「距離」との戦いが生んだビジネスの胎動-12のイノベーション・ウェーブ (The 12 Innovation Waves):機械化と動力の変革時代のコミュニケーション

更新日:1月14日

はじめに:なぜ今、歴史を振り返るのか


現代の私たちは、ZoomやSlackで瞬時に連絡を取り合いますが、ビジネス・コミュニケーションの「原型」がどこで生まれたかご存知でしょうか? それは、「蒸気」と「鉄道」の時代です。


このシリーズでは、「12のイノベーション・ウェーブ (The 12 Innovation Waves)」というフレームワークを使い、テクノロジーが私たちの「会話」や「商売」をどう変えてきたのかを紐解きます。第1回は、産業革命の幕開け、物理的な距離と戦った人々の物語です。


1. 「蒸気と工場」の時代 (1780s - 1810s):都市と地方の分断と「手紙」の重み

最初の波は、蒸気機関と工場の誕生から始まりました 。この時代、ビジネス・コミュニケーションにおける最大の課題は「物理的な距離」でした。


地域内の「対面」が基本だったビジネス

当時、コミュニティ内の主要な手段は「対面」でした 。商売は顔を合わせて行われ、信頼は直接の会話から生まれていました。しかし、工場労働のために人々が都市へ移動し始めると、故郷と都市の間で分断が生まれます 。


「非同期」コミュニケーションの原点:手紙

遠隔地とのやり取りは「手紙」に頼らざるを得ませんでした 。これは現代のメールのような即時性はなく、数週間から数ヶ月かけて近況を報告し合う「非同期」の手段でした 。 ビジネスにおいては、これは「在庫確認」や「発注」に数ヶ月かかることを意味します。この「遅れ」を前提とした商売の設計が必要だったのです。また、このコミュニケーションを支えたのは「識字能力」と「製紙技術」でした 。


デジタル以前の唯一の遠隔手段、「手紙」がビジネスラインをつないでいた。
デジタル以前の唯一の遠隔手段、「手紙」がビジネスラインをつないでいた。

2. 「鉄道と輸送」の時代 (1810s - 1830s):スピードが商圏を広げた

次の波で、世界は劇的に縮まります。「鉄道」の登場です 。これは単なる移動手段の変化ではなく、情報の流通速度革命でした。


郵便の高速化と「計画的」な商談

鉄道網の拡大により、手紙や荷物の配送速度が劇的に向上しました 。これにより、数日単位でのやり取りが可能になり 、ビジネスのサイクルが加速します。 また、鉄道の時刻表が登場したことで、「いつ到着するか」が予測可能になりました。これにより、「計画的な」遠隔地訪問や商談が可能になったのです 。不確実だったアポイントメントが、確実なスケジュールへと変わった瞬間です。


電信の登場と「緊急連絡」

さらに、電信(Telegraph)が発明され、情報は「モノ(列車)」よりも速く移動する手段を手に入れました 。主に政府やビジネスの緊急・重要情報の伝達に使われ始めました 。現代のチャットツールの祖先とも言える「即時伝達」の概念は、ここで生まれました。


鉄道と電信。「モノ」と「情報」の速度革命が、地域限定だった商売を全国区へと押し上げた。
鉄道と電信。「モノ」と「情報」の速度革命が、地域限定だった商売を全国区へと押し上げた。

まとめ:インフラが変える「商いの速度」

第1次産業革命期において、「12のイノベーション・ウェーブ (The 12 Innovation Waves)」は、物理的な制約を技術(蒸気・鉄道)で克服するプロセスでした。

  • Before: 数ヶ月かかる手紙、地域内だけの対面。

  • After: 数日で届く郵便、計画的な出張、電信による緊急連絡。

この変化は、ビジネスの市場を「地域」から「国」レベルへと拡大させました。次回は、より彩り豊かで、大量の情報が飛び交う第2次産業革命期へと進みます。

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