スマホが広告を変え、AIが心を予測する。「12のイノベーション・ウェーブ (The 12 Innovation Waves)」が示す現在地
- 本間 充/マーケティングサイエンスラボ所長

- 2025年12月19日
- 読了時間: 3分
「12のイノベーション・ウェーブ (The 12 Innovation Waves)」の旅も、いよいよ現代に到達しました。 第4章では、第4次産業革命期にあたる第11波と第12波(2000年代後半〜現在)を解説します 。私たちのポケットにあるスマートフォンと、見えない場所で動くAIが主役です。
11. 「モバイルとソーシャル」の時代:いつでもどこでも繋がっている
2000年代後半、iPhoneの登場により世界は一変しました。「モバイル」と「SNS」の時代です 。
ターゲティングの進化と「共感」のシェア
人々がSNS(Facebook, Twitter/X, Instagramなど)で常に繋がるようになり、広告はタイムライン(フィード)の中に溶け込みました 。ここでは、属性だけでなく「誰と繋がっているか」「何に興味があるか」というデータに基づいた精緻なターゲティングが行われます 。 また、企業が一方的に売り込むのではなく、インフルエンサーを通じて紹介してもらったり 、ユーザーにとって価値あるコンテンツを提供して「シェア」や「いいね!」といったエンゲージメント(反応)を狙う手法が定着しました 。

12. 「AIとIoT」の時代:広告があなたを知り尽くす
2010年代後半から現在にかけて、私たちは「AI(人工知能)」と「IoT」の時代を生きています 。
AIによる超パーソナライゼーション
ここでの最大の特徴は「運用型広告(プログラマティック広告)」です 。AIが膨大なビッグデータをリアルタイムで解析し、「誰に、いつ、どの広告を出すか」を瞬時に判断して入札・配信します。 さらに、「ダイナミック・クリエイティブ最適化 (DCO)」により、広告の画像やコピーさえも、あなたに合わせて自動で生成・変更されます 。これは、マス広告の対極にある「超パーソナライゼーション(1to1)」の世界です 。
予測する広告
AIの進化は、「あなたが欲しいと思う前」にそれを予測することさえ可能にしています 。Amazonのレコメンド機能のように、過去の行動から「次はこれを必要とするはずだ」と先回りして提案するのです 。また、スマートスピーカーなどのIoTデバイスを通じた音声広告も新たな接点となっています 。

この時代の代表的な広告事例
データとスピードが勝負の現代を象徴する事例を2つ紹介します。
① Oreo「Dunk in the Dark」
2013年のスーパーボウル(全米最大のスポーツイベント)で停電が起きた際、オレオは即座に「停電?問題ない。暗闇でも(ミルクに)ダンクできるよ」という画像をTwitterに投稿しました。スマートフォンの常時接続とSNSのリアルタイム性を活かし、巨額のTVCM以上の話題をさらった伝説的な事例です。
解説: このたった一つのツイートがいかに拡散され、マーケティング業界に衝撃を与えたかを解説する動画が見つかります。「リアルタイム・マーケティング」の金字塔です。
② Dollar Shave Club
2012年、カミソリの定期購入サービスであるこの新興企業は、創業者が出演する低予算かつユーモラスな動画をYouTubeに公開しました。これがSNSで爆発的にシェアされ、瞬く間に巨大な顧客基盤を築きました。TVCMを使わずとも、動画とSNSの力でブランドが作れることを証明しました。
解説: "Our Blades Are F***ing Great" というタイトルの実際の動画が見られます。テンポの良さとユーモア、そして明確なメッセージが、現代の動画マーケティングのお手本です。
こうして広告は、テクノロジーの進化と共に「広く告げる」ものから、「あなただけ・今だけ」の情報へと進化を遂げました。では、AIのさらにその先には何が待っているのでしょうか?

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