MUSE: サブリナ・カーペンターがポテチで理想の男を作る!?プリングルズの型破りなロマンスCMを徹底解剖
- 本間 充/マーケティングサイエンスラボ所長

- 2月26日
- 読了時間: 4分
このコマーシャルの特徴
第60回スーパーボウルで放映されたこのCMは、世界的ポップスターのサブリナ・カーペンターを起用した、プリングルズらしいシュールでキャッチーな作品です。
恋愛に疲れ「男の子にはもううんざり。そろそろ本物の男(a man)が必要だわ」と嘆くサブリナが、プリングルズのチップスを積み上げて等身大のパートナー『プリングレオ』を自作するという、奇想天外なストーリーが展開されます。イタリアの名曲『Guarda che luna』が流れる中、二人のロマンチックなデートが描かれますが、ラストはレッドカーペットでの事故でプリングレオが粉々に砕け散るという衝撃の結末。
しかし、サブリナはその欠片をスナックとして楽しむことで悲しみを乗り越えます。ブランドの象徴である『Once you pop, the pop don't stop(食べだしたら、止まらない)』というスローガンを、愛の脆さとポテトチップスの美味しさに掛けて表現した、極めてクリエイティブな広告です。
English Script
0:00 Sabrina: I'm so tired of boys. I need a man.
0:03 Whisper: Pringles...
0:10 Sabrina: Pringle-o!
0:12 Music: Guarda che luna...
0:18 Sabrina: You made it!
0:22 Paparazzi: (Chaotic camera flashes and shouting)
0:24 Sound: (Crumbling and shattering) 0:26 Sabrina: (Gasps and starts eating)
0:28 Narrator: Once you pop, the pop don't stop.

日本語スクリプト
0:00 サブリナ:男の子にはもううんざり。そろそろ「大人の男」が必要だわ。
0:03 ささやき声:プリングルズ…
0:10 サブリナ:プリングレオ!
0:12 音楽:(イタリアの名曲『月を見つめて』が流れる)
0:18 サブリナ:来てくれたのね!
0:22 パパラッチ:(混乱したカメラのフラッシュと叫び声)
0:24 効果音:(粉々に砕け散る音)
0:26 サブリナ:(息を呑み、そして食べ始める)
0:28 ナレーター:一度開けたら、止まらない。
英会話TIPS (Speaking English)
“I'm so tired of...”
「〜にはもううんざりだ」「〜に飽き飽きしている」という強い不満や退屈を表す表現です。単に物理的な疲れではなく、心理的な飽和状態を指します。
Example I'm so tired of this rainy weather; I need some sunshine.
この雨続きの天気にはもううんざり。太陽の光が必要だわ。
“Once you pop, the pop don't stop.”
プリングルズの有名なスローガンです。「一旦(缶を)パカッと開けたら、食べるのが止まらない」という意味。文法的には 'the pop doesn't stop' が正解ですが、リズムと口語的な勢いを重視して 'don't' が使われています。
Example
This TV series is so addictive. Once you start watching, the show don't stop!
このドラマ、すごく中毒性があるよ。一度見始めたら、もう止まらないんだ!
“You made it!”
約束の場所に「間に合った」「到着した」あるいは、困難なことを「やり遂げた」「成功した」という意味で使われる非常に一般的なフレーズです。
Example
I thought you'd miss the train, but you made it!
電車に乗り遅れるかと思ったけど、間に合ったね!

マーケティング分析 (Marketing Understanding)
現在のこのブランドの状況
プリングルズは、世界的に認知されたスタッカブル(積み重ね型)ポテトチップスの代名詞ですが、近年は健康志向の高まりや、より本格的なフレーバーを求めるスナック市場の多様化に直面しています。スーパーボウルという巨大な舞台で、単なる『食べ物』以上のブランド体験を提供し、ファンのエンゲージメントを強化する必要がありました。
このコマーシャルのターゲット
主役のサブリナ・カーペンターは、Z世代やミレニアル世代を中心に圧倒的な支持を得ているアイコンです。このCMは、彼女のファン層を取り込むとともに、SNSでの拡散を狙った視覚的な面白さを重視しています。また、日常の些細な不満(恋愛の悩みなど)をユーモアで解決したいと考えている、ライトなエンタメ消費層をターゲットにしています。
このコマーシャルで行いたいマーケティング(目的・戦略)
ブランドの若返り: サブリナ・カーペンターを起用することで、クラシックなブランドに現代的でスタイリッシュなイメージを注入しています。
ブランド資産の再定義: 象徴的なスローガン『Once you pop』を、文字通り『砕け散る(pop)』という物理的な現象と、『やめられない美味しさ』の両方に掛けて再解釈し、視聴者の記憶に強く刻み込んでいます。
SNSでのミーム化: 『プリングレオ(Pringleo)』というキャラクター自体が突っ込みどころ満載で、視聴者がSNSでスクリーンショットを共有したり、真似して何かを作ったりするような『会話のきっかけ』を生み出す戦略をとっています。
その他、特筆すべきマーケティング的特徴
イタリアン・ラブロマンス映画のような演出と、悲劇的な結末のギャップが、広告特有の『押し付けがましさ』を消し去っています。最愛の存在(プリングレオ)が壊れた瞬間に、悲しむのではなく『食べる』という行動に移るシュールなオチは、ブランドの核心である『抗えない美味しさ』を最も強力に、かつ面白く伝えることに成功しています。

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