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MUSE: ビールへの愛が止まらない!バドワイザーの豪華カオスCMで学ぶ英語とマーケティング

ビールのためなら丘も転がる?スーパーボウル60の話題作


世界中が注目する広告の祭典、スーパーボウル。今年も数々の名作が生まれましたが、MUSE(Marketing Understanding & Speaking English)が今回ピックアップするのは、スーパーボウル60(SuperBowl LX)のバドワイザーのコマーシャルの一本です。


こちらは、NFLにちなんで、NFLのレジェンドプレーヤーのペイトン・マニングが出演することで、話題になった、CMです。


しかし、見どころは彼だけではありません。人気ラッパーのポスト・マローン(Post Malone)や、人気コメディアンのシェーン・ギリス(Shane Gillis)も登場するという豪華キャスティング。結婚式の最中にビールの樽(ケグ)が丘を転がり落ちてしまい、ゲスト全員が泥だらけになりながらそれを追いかけるという、最高にバカバカしくも愛らしい映像になっています。


BGMに流れるホイットニー・ヒューストンの名曲『I Will Always Love You』と、スローモーションで転がり落ちる人々の映像のギャップが秀逸です。なぜこれほどまでに彼らは必死なのか?そして、最後に放たれる強烈な一言とは?楽しみながら英語とマーケティングを学んでいきましょう。



英語の文字起こし

Peyton Manning: Ooh, what's that?


Guest: First beer of the wedding.


Post Malone: Is there enough for everyone?


Peyton Manning: Oh, right there.


Man with Keg: I got this. (He drops the keg) Oh!


(The keg starts rolling down the hill. Whitney Houston's "I Will Always Love You" begins to play.)


(Guests, including the bride and groom, dive and roll down the hill chasing the Bud Light keg.)


Peyton Manning (walking calmly): Oh! Oh! This is not necessary. There's a trail.


(The keg stops. Beer is poured.)


Peyton Manning: Heck of a wedding, huh?


Shane Gillis: Hey, this is a great ceremony.


(Shane turns to someone else, whispering)


Shane Gillis: I give it a week.



完全日本語訳

ペイトン・マニング: おっ、それ何だ?


ゲスト: 結婚式、最初の一杯だよ。


ポスト・マローン: 全員分足りるのかい?


ペイトン・マニング: ああ、あそこにあるよ。


樽を持った男: 任せとけって。(樽を落としてしまう)あっ!


(樽が丘を転がり落ち始め、ホイットニー・ヒューストンの『オールウェイズ・ラヴ・ユー』が流れ出す)


(新郎新婦を含むゲストたちが、バドワイザーの樽を追いかけて丘を転がり落ちていく)


ペイトン・マニング(冷静に歩きながら): うわ!おいおい!そんなことする必要ないだろ。道があるのに。


(樽が止まり、ビールが注がれる)


ペイトン・マニング: とんでもない結婚式だな、え?


シェーン・ギリス: いやぁ、素晴らしい式だよ。


(シェーンが横を向いて、こっそりと)


シェーン・ギリス: (この夫婦)1週間もつかな。

結婚式の最中にビールの樽(ケグ)が丘を転がり落ちて
結婚式の最中にビールの樽(ケグ)が丘を転がり落ちて


英会話TIPS:明日から使える口語表現

このCMには、日常会話で非常に役立つ短いフレーズが詰まっています。


1. "I got this." (任せて / 私がやります)

樽を運ぼうとした男性が言ったセリフです。直訳すると「私はこれを持っている」ですが、文脈としては「この状況は私がコントロールしている」「私が処理するから大丈夫」という意味で使われます。レストランで会計を済ませたい時や、仕事を引き受ける時によく使われるカッコいい表現ですが、このCMでは直後に失敗することで笑いを生んでいます。


2. "This is not necessary." (そんな必要ないのに)

ゲストたちが必死に丘を転げ落ちるのを見て、マニングが言った一言。直訳は「これは必要ではない」。相手が大げさなことをしたり、過剰な反応をした際に、冷静にツッコミを入れる表現として使えます。「そこまでしなくていいよ」というニュアンスです。


3. "Heck of a..." (とんでもない〜 / すごい〜)

"Hell of a..." の少しマイルドな言い方です。"Heck of a wedding" で「すんごい結婚式だ」という意味になります。良い意味でも悪い意味でも、程度が甚だしいことを強調する際に使います。例えば "Heck of a game!" と言えば「すげぇ試合だったな!」となります。


4. "I give it a week." (1週間もつかな / すぐダメになるだろう)

最後のオチ(パンチライン)です。「私はそれに1週間の期間を与える」=「1週間くらいしか続かないだろう」という予測を表します。新婚カップルを見てこう言うのはかなりブラックなジョークですが、何か新しく始まったものに対して「どうせすぐ終わるよ」と皮肉る際によく使われる決まり文句です。



マーケティング分析:混沌の中に光るブランド戦略

このCMは単なるドタバタ劇に見えますが、計算されたマーケティング戦略が潜んでいます。


1. ターゲットとインサイト

ターゲットはNFLファンを中心とした幅広い層ですが、特に「堅苦しいこと抜きで楽しみたい」人々です。結婚式という本来「神聖でフォーマル」な場を、ビール一つで「カオスで楽しい」場に変えてしまうことで、ブランドの持つ「Easy to Enjoy(気楽に楽しもう)」というコアバリューを表現しています。視聴者には「美味しいビールのあの一杯のためなら、泥だらけになるのも悪くない(むしろ楽しい)」という共感を呼び起こします。


2. コントラストの妙

このCMの面白さは「対比」にあります。


  • 音楽 vs 映像

    • ホイットニー・ヒューストンの感動的なバラードに対し、映像は人々が無様に転がり落ちるスラップスティック(ドタバタ)コメディ。このギャップが視聴者の注意を惹きつけます。

  • 静 vs 動

    • 必死に転がる群衆に対し、冷静に道を歩いて降りるペイトン・マニング。彼の「常識的なツッコミ」があることで、群衆のビールへの執念(=異常な愛)がより際立ちます。


3. スターパワーの活用

ペイトン・マニングを「ツッコミ役(Straight man)」に据えたのが巧みです。彼はNFLのレジェンドでありながら、コメディの才能も評価されています。彼が騒動に参加せず、あきれ顔で見守る立ち位置にいることで、彼のキャラクターが活き、CM全体に余裕と親しみやすさが生まれています。また、最後に辛辣なジョークを言うシェーン・ギリスの起用も、エッジの効いたユーモアを好む若年層へのフックとなっています。


学び


ブランドへの愛着(ロイヤリティ)を表現する際、真面目に語るのではなく、「極端な行動」を通じてユーモラスに描くことで、より強い印象と好感度を獲得できるという好例です。

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