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AI時代を乗りこなせ!ゼロクリック検索に負けない「SNS x Webサイト」連携戦略【GAS自動化Tips付き】

はじめに:AIが突きつけた「ゼロクリック検索」という現実


デジタルマーケターの皆さん、GoogleのAI Overviewsが検索結果の風景を一変させた今、私たちは共通の課題に直面しています。それは「ゼロクリック検索」の増加です。ユーザーが検索結果ページで直接答えを得られるようになったことで、これまでSEOに注力して積み上げてきたWebサイトへのオーガニック流入が、静かに、しかし確実に蝕まれ始めています。

Search Generative Experienceは、今のAI Overviewsのこと

この変化は、検索エンジンへの過度な依存がもたらすリスクを浮き彫りにしました。しかし、これは脅威であると同時に、私たちのマーケティング戦略をより強靭なものへと進化させる絶好の機会でもあります。その鍵を握るのが、SNSとWebサイトの戦略的連携の再構築です。本記事では、この新しい時代を乗りこなし、持続的なサイト流入を確保するための実践的な戦略と、技術的なヒントを解説します。


なぜ今、「SNS x Webサイト」なのか? フローとストックの相乗効果


SNSとWebサイトの関係は、童話『ウサギとカメ』に例えられます 。   


  • SNS(ウサギ): リアルタイム性と高い拡散力を持ち、短期間で爆発的な注目を集める「フロー型」メディア。しかし、情報の寿命は短く、すぐに流れていってしまいます 。   


  • Webサイト(カメ): 一度作成したコンテンツが資産として蓄積され、長期的に安定した集客を生み出す「ストック型」メディア。しかし、効果が出るまでには時間がかかります 。   


これからの時代に求められるのは、この両者の強みを掛け合わせることです。SNSの瞬発力で新たなユーザーの認知(トップファネル)を獲得し、その熱量をWebサイトという永続的な資産(ミドル〜ボトムファネル)へと確実に誘導し、顧客へと育てていく。このエコシステムを構築することこそが、ゼロクリック検索時代における最も効果的な一手なのです 。 


「うさぎ」と「かめ」
「うさぎ」と「かめ」

  

プラットフォーム別・サイト流入戦略


成功の鍵は、各SNSの特性を理解し、マーケティングファネルにおける役割を明確にすることです 。ここでは主要SNSの特性と、サイト流入を最大化するための戦略を解説します。   


プラットフォーム

主要年齢層

特徴

サイト流入戦略

X (Twitter)

10代〜30代    


リアルタイム性、高い情報拡散力    


キャンペーンや速報で短期的なトラフィックを創出。ブログ記事を分割投稿し、継続的にサイトへ誘導 。   

Instagram

10代〜30代(女性多)   


ビジュアル中心、世界観構築    


プロフィールリンクへの誘導を徹底。ストーリーズのリンクスタンプやショッピング機能を活用し、直接的な導線を確保 。   

TikTok

10代〜20代    


強力なレコメンド、エンタメ性    


直接的な流入より「認知獲得」と割り切る。エンタメコンテンツでブランド好意度を高め、指名検索を促す 。   

YouTube

全年代(特に40代以上が強い)   

ストック型動画、検索エンジン機能    


課題解決型の「ハウツー動画」で質の高いトラフィックを継続的に獲得。概要欄や終了画面でサイトへ誘導 。   

LINE

全年代    


クローズドな関係、プッシュ通知    


既存顧客やリードの再訪促進に特化。メッセージの高い開封率を活かし、限定オファーなどで特定のLPへ誘導 。   

Facebook

30代〜40代    


実名制、ビジネス利用、コミュニティ    


BtoBや高年齢層へのアプローチ。FacebookページはSEO効果も期待できるため、信頼性のある情報発信のハブとして活用 。   

【マーケター x 技術者向け】GASでSNS連携を自動化する


さて、ここからはプログラミングの知見を持つマーケターの皆さんに向けて、一歩踏み込んだ効率化の手法をご紹介します。Google Apps Script (GAS) を使えば、面倒な定型業務を自動化し、より戦略的な時間に集中できます。

特にXやYouTubeはAPIが比較的利用しやすく、GASとの連携で大きな効果を発揮します。


ユースケース例:GoogleスプレッドシートからXへ定時投稿

スプレッドシートに投稿日時と内容をリスト化しておき、GASのトリガー機能で定期的に実行。指定時刻になったら自動で投稿する、という仕組みは比較的簡単に実装可能です 。


// GASによるX API v2への投稿(概念コード)
function postTweetFromSheet() {
  // 1. スプレッドシートから投稿内容を取得
  const sheet = 	SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet().getSheetByName('Tweets');  	   const data = sheet.getDataRange().getValues();
const now = new Date();

 // 2. 投稿時間になった投稿を探す
for (let i = 1; i < data.length; i++) {
 const postTime = new Date(data[i]); // A列:投稿時
 const content = data[i][1]; // B列:投稿内容
 const isPosted = data[i][2]; // C列:投稿済みフラグ
   if (!isPosted && postTime <= now) {

      // 3. X API v2へ投稿リクエストを送信(OAuth1ライブラリ等を利用)       // callTwitterApi('https://api.twitter.com/2/tweets', { "text": content });
      sheet.getRange(i + 1, 3).setValue('Posted'); // 投稿済みフラグを立てる
      break;
    }
  }
}

注意: 実際のコードにはOAuth認証の処理が必要です。


この仕組みで、マーケティングサイエンスラボでは、実際にXへの投稿を自動化しています。

当然、プログラムで自動化されているので、Xでの表示回数や、GA4でのWebサイトの流入もGoogle Apps Scriptで自動集計しています。


一方で、Meta系(Instagram, Facebook)のAPIは認証プロセスが複雑で、個人で実装するにはハードルが高いのが現状です 。API連携を検討する際は、プラットフォームごとの技術的な実現可能性を見極めることが重要です。   


私も実際にInstagramの連携を行い、投稿を開始しましたが、こちらは約2日もAPIの連携に手こずりました。以下のページに実装例がありますので、確認してみてください。



運用を加速させるSaaSツールという選択肢


自社開発だけでなく、市販のSaaSツールを活用するのも賢い選択です。目的別にツールを選び、運用を効率化しましょう。


ツールカテゴリ

代表的なツール

特徴

統合管理(個人・中小企業向け)

Buffer, SocialDog

シンプルなUIで予約投稿や基本分析が可能。低コストで始められる 。   

統合管理(大企業・チーム向け)

Hootsuite, コムニコ マーケティングスイート

複数人での承認フローや高度な分析、レポーティング機能が充実。ガバナンス強化に 。   

分析・リスニング特化

Social Insight, SINIS

競合分析や口コミ分析に強み。データに基づいた戦略立案を支援 。   

AI活用ツール

ChatGPT, HINOME, HubSpot

投稿文の自動生成、最適な投稿時間の提案など、AIが運用をアシスト 。   

まとめ:計測なくして改善なし。次なる一手へ


AI Overviewsの登場は、私たちに変化を促しています。単一の流入経路に依存する時代は終わり、SNSをハブとした多角的で強靭なトラフィックエコシステムを設計する「トラフィックアーキテクト」としての視点が不可欠です。

戦略を実行に移したら、その効果を必ず測定しましょう。全てのSNS投稿のURLにUTMパラメータを付与し、Google Analytics 4 (GA4) でどの投稿がどれだけサイト流入やコンバージョン(キーイベント)に貢献したかを可視化するのです 。   


さあ、今日から始めましょう。

  1. 自社のターゲットに最も響くSNSを2〜3個に絞り込む。

  2. UTMのルールを決め、GA4でキーイベントを設定する。

  3. 無料のSNS管理ツールを導入し、投稿を効率化する。

ゼロクリック検索の波を恐れるのではなく、乗りこなす。そのための設計図は、すでにあなたの手の中にあります。


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