MUSE|猫の心の声が漏れすぎ?Chewyが仕掛ける「ペット愛」炸裂の共感マーケティング
- 本間 充/マーケティングサイエンスラボ所長

- 4月2日
- 読了時間: 5分
このコマーシャルの特徴
今回は、アメリカのペット用品EC市場でAmazonと激しいシェア争いを繰り広げる「Chewy(チューイ)」の看板CMシリーズ、『Chatty Pets』からの一編です。
日本にもペット専門のECサイトは、下記のようにあるのですが、テレビコマーシャルまでは流していませんね。
1. PEPPY(ペピイ)
ECサイト名: PEPPY(ペピイ)
特徴:
老舗の安心感: 25年以上の歴史があり、通販カタログも発行している国内最大級の老舗サイトです。
厳選された品質: 獣医師のアドバイスに基づいた商品開発や、安全性にこだわったオリジナル商品(ベッドや階段など)が豊富です。
シニアケアに強い: 高齢ペット向けの介護用品や健康サポートアイテムの品揃えが非常に充実しています。
2. チャーム(charm)
ECサイト名: チャーム(charm)
特徴:
圧倒的な在庫数: ペット用品EC界の「Amazon」的存在。犬猫だけでなく、アクアリウム、小動物、爬虫類まで網羅しています。
物流スピード: 自社倉庫による迅速な発送が強みで、当日発送や翌日配送の対応が非常に早いです。
価格競争力: 消耗品(ペットシーツやフード)のまとめ買いが安く、多頭飼いの飼い主さんから絶大な支持を得ています。
3. ペットゴー(petgo)
ECサイト名: ペットゴー(petgo)
アドレス: https://www.petgo.jp/
特徴:
ヘルスケア特化: 「ペットの健康寿命を延ばす」を掲げ、食事療法食や動物用医薬品の取り扱いに非常に長けています。
定期便の利便性: 重い療法食や毎日使うサプリメントを定期購入する仕組みが整っており、買い忘れを防げます。
信頼性: 上場企業が運営しており、獣医師への相談窓口があるなど、医療に近い側面でのサポートが手厚いです。
Chewyは、単なる通販サイトを超えた「神対応」のカスタマーサービスで熱狂的なファンを持つブランドですが、このCMではその高い利便性と、飼い主なら誰でも「あるある!」と頷いてしまうペットの心理描写をコミカルに描いています。
動画では、飼い主の膝の上でChewyアプリの操作を監視(?)する猫が、注文内容に対して毒舌を交えつつも満足げにコメント。猫特有の気まぐれな性格と、定期配送(AutoShip)の便利さを絶妙にリンクさせた構成が、SNSでも大きな話題を呼びました。
英語スクリプト(文字起こし)
Ooh, we're firing up the Chewy app.
What do we want delivered every month?
Hmm, clumping litter? Resounding yes.
Salmon pate?
Love that for me.
And some of those catnip toys.
Just choose the frequency and ship it.
We did it! I feel so accomplished.
Now you can pet me.
Okay, that's enough.
You're literally so annoying. Just kidding, love you!
Get fast free shipping for all your pet's needs.
Chewy.
日本語スクリプト
おっ、Chewyのアプリを立ち上げたね。
毎月何をお届けしてもらおうか?
うーん、固まる猫砂?
もちろん、大賛成。
サーモンのパテ?
私にぴったり、最高。
それから、あのキャットニップのおもちゃも。
あとは頻度を選んで、配送ボタンをポチッと。
やったね!
達成感あるわ。
さあ、撫でてもいいわよ。
……はい、もう十分。
あんた、マジでしつこい。
……なーんてね、大好きよ!
ペットの必需品を、スピーディーかつ送料無料でお届け。
Chewy(チューイ)。

英会話TIPS(Speaking English)
【firing up】
本来は「(機械などに)火を入れる」「始動させる」という意味ですが、現代では「アプリやPCソフトを立ち上げる」という意味で頻繁に使われます。単に 'opening' と言うよりも、ワクワク感や勢いを感じさせる表現です。
例文
Wait a second, let me fire up my laptop and check the file.
訳: ちょっと待って、ノートパソコンを立ち上げてファイルを確認するから。
【Love that for me】
直訳すると「自分のためにそれが好き」ですが、SNSや日常会話で流行している表現で、「(自分に起きた良いことに対して)最高じゃん!」「私にぴったりだわ」と自己肯定感を高めるようなニュアンスで使われます。
例文
A whole weekend with no plans? Love that for me.
訳: 予定がまったくない週末? 私にとって最高のご褒美だわ。
【I feel so accomplished】
「大きな達成感がある」「やり遂げた気分だ」という意味です。買い物や簡単なタスクを完了した際にあえて大げさに使うことで、ユーモアを演出することができます。
例文
I finally finished cleaning my room. I feel so accomplished!
訳: やっと部屋の掃除が終わった。ものすごい達成感だよ!
このコマーシャルのマーケティング分析(Marketing Understanding)
1. 現在のブランドの状況
Chewyは「世界で最も顧客中心のペット専門店」を目指しており、Amazonとの差別化として「パーソナライゼーション」と「感情的な繋がり」を重視しています。例えば、ペットが亡くなった際に供花を送ったり、顧客のペットの似顔絵をサプライズでプレゼントしたりするなどの「神対応」で知られています。現在、売上の多くを占めるのが「AutoShip(定期配送)」であり、このCMもその仕組みを自然に紹介する役割を担っています。
2. ターゲット層
主なターゲットは、ペットを家族の一員として溺愛している「ペット・ペアレンツ(Pet Parents)」です。単に安く買いたい人ではなく、ペットの健康や幸福を第一に考え、買い物そのものも楽しみたい層。特にスマホ操作に慣れた20代〜40代の層が、自分たちの日常(ソファでペットとくつろぎながらスマホをいじる姿)を投影しやすいよう設計されています。

3. マーケティングの目的と戦略
このCMの戦略的ポイントは「AutoShip(定期便)」の心理的ハードルを下げることです。定期購入は「解約が面倒そう」「使い切れないかも」という懸念がありますが、猫が「頻度を選んで配送するだけ」と語ることで、操作の簡単さと自由度をアピールしています。また、猫の「心の声」を可視化することで、ブランドに対する「親近感」と「この会社はペットの気持ちを分かっている」という信頼感を醸成しています。
4. 特筆すべきマーケティング的特徴
「Chatty Pets」シリーズの最大の成功要因は、SNSでの二次拡散性の高さです。ペット動画はもともとソーシャルメディアで最もシェアされやすいコンテンツですが、そこに「皮肉屋の猫」や「おバカな犬」といったキャラクター設定(ペルソナ)を与えることで、視聴者が自分のペットと重ね合わせ、ハッシュタグを付けて投稿したくなる仕掛けになっています。これは、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を誘発する高度なコンテンツ戦略と言えます。


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