MUSE: ロレアルが仕掛ける『プラダを着た悪魔』の続編!?ケンダル・ジェンナーとシモーヌ・アシュレイが魅せる華麗なCM戦略
- 本間 充/マーケティングサイエンスラボ所長

- 3月24日
- 読了時間: 5分
このコマーシャルの特徴
20th Century Studiosとの公式コラボレーションにより、名作映画『プラダを着た悪魔』の世界観を見事に再現したロレアル パリのスペシャルCM。
ケンダル・ジェンナーとシモーヌ・アシュレイという豪華な顔合わせに加え、映画ファンなら思わずニヤリとする「ミランダのオフィス」の設定や台詞回しが散りばめられています。
アカデミー賞授賞式という、美とエンターテインメントへの関心が最も高まるタイミングで放映され、SNSでは映画の続編への期待とともに、そのクリエイティビティの高さが爆発的な話題となりました。
英語スクリプト(文字起こし)
Kendall: Hi, I have an appointment with Miranda.
Assistant: Ugh, HR certainly has an odd sense of humor.
Kendall: What? Assistant: You're late. Make yourself presentable.
Assistant: Let's go. The last two girls were sacked after only a few weeks.
Kendall: Wait, I think you're confused.
Assistant: It's hurting me to look at you, just here, take this.
Kendall: You know I'm the brand ambassador for L'Oreal Paris, right?
Assistant: That means you...
Simone: Kendall! Oh.
Simone: You are so worth it. Fired.
Assistant: That's fair.
日本語スクリプト
ケンダル:こんにちは。ミランダと約束があるのですが。
アシスタント:はぁ、人事部ってのは本当に妙なユーモアセンスを持ってるな。
ケンダル:え?
アシスタント:遅刻だ。人前に出られる格好をしろ。
アシスタント:行くぞ。前の二人はほんの数週間でクビになったんだからな。
ケンダル:ちょっと待って、何か勘違いしてると思うんだけど。
アシスタント:君を見てるだけでこっちが辛くなる。ほら、これを持て。
ケンダル:私がロレアル パリのブランドアンバサダーだってこと、知ってるわよね?
アシスタント:ということは、君は……。
シモーヌ:ケンダル! あら。
シモーヌ:あなたには、その価値がある。クビよ。
アシスタント:そりゃそうだ。

英会話TIPS(Speaking English)
【Make yourself presentable】
解説
「人前に出られる格好にする」「身なりを整える」という意味です。単に服を着るだけでなく、状況に合わせてふさわしい外見にすることを指します。特にビジネスやフォーマルな場への準備を促す際によく使われる表現です。
例文
We have an important client meeting in ten minutes, so please make yourself presentable.
訳: 10分後に重要なクライアント会議があるから、身なりを整えておいてね。
【Sacked】
解説
「解雇される」「クビになる」という意味の口語的な表現です。主にイギリス英語で頻繁に使われますが、ファッション業界のようなテンションの高い職場環境を描く際にもよく登場します。アメリカ英語の 'fired' と同義です。
例文
He was sacked for constantly arriving late to the office.
訳: 彼は度重なる遅刻が原因でクビになった。
【I think you're confused】
解説
相手が何かを勘違いしている時に、「あなたは混乱している(間違っている)と思いますよ」と指摘する丁寧かつ主張のあるフレーズです。直接的に 'You are wrong' と言うよりも、状況の認識に齟齬があることを強調するニュアンスが含まれます。
例文
I think you're confused; our reservation was actually for seven o'clock, not eight.
訳: 何か勘違いされているようですが、私たちの予約は8時ではなく7時でした。
このコマーシャルのマーケティング分析(Marketing Understanding)
現在のこのブランドの状況(背景)
ロレアル パリは、世界最大級のビューティーブランドとして確固たる地位を築いていますが、常にZ世代やミレニアル世代といった若い層との接点を強化し、ブランドの鮮度を保つ必要があります。また、高級ブランドのような「憧れ」と、ドラッグストアで購入できる「身近さ」の両立が課題となっていました。
このコマーシャルのターゲット
2000年代のポップカルチャー、特に映画『プラダを着た悪魔』にノスタルジーを感じる30〜40代と、アイコン的存在であるケンダル・ジェンナーを支持する20代の女性層を主なターゲットとしています。また、アカデミー賞授賞式の視聴者という、ファッションやトレンドに敏感な層を狙い撃ちしています。

このコマーシャルで行いたいマーケティング(目的・戦略)
エンターテインメントへの昇華
単なる製品紹介ではなく、大ヒット映画の続編のようなストーリー性を持たせることで、視聴者が「広告」として避けるのを防ぎ、自らシェアしたくなるコンテンツにしています。
ブランド価値の向上
ハイエンドな映画の世界観に製品を溶け込ませることで、手頃な価格帯の製品でありながら「一流の美」の象徴としてのイメージを強化しています。
スローガンの再定義
ロレアルの有名なスローガン 'Because you're worth it' を、映画の文脈に合わせたひねりのある台詞(Simone Ashleyの 'You are so worth it. Fired.')として活用し、記憶に残る形でリブランディングしています。
その他、特筆すべきマーケティング的特徴
このCMの真の勝因は「リアルタイム性」と「共創」にあります。映画の続編製作が噂されていた絶妙なタイミングで、公式スタジオと協力して制作されたため、視聴者は「これは本物の予告編か?」という驚きとともに視聴を開始しました。この「混乱と発見」のプロセスがSNSでのエンゲージメントを極大化させました。


コメント