デジタル・マーケターとしては、すべてのメディアが残っていた方が良い!
私は、デジタル・マーケティングを事業会社で、行ってきました。そして、今はコンサルタント、実務教育者として、様々なマーケティングをご支援させていただいています。
デジタル・マーケティングは、その初期段階は、デジタル・メディア・マーケティングで、WebやSNSなどを活用して、マーケティングを行なっていました。そして、その初期の頃に、よく聞かれたのは、「早く全てのメディアがデジタル・メディアになったら良いと思いませんか?」という質問でした。私は、「そうですか?」と、曖昧な返事をしていたことが多かったと思います。
しかし、今は、明確に「No!」と返事をします。
なぜなら、全てのマーケターは、メディアや媒体の種類が多い方が、マーケティング戦略の幅が広がるからです。
メディアには、様々な種類がありますが、印刷物・紙も重要な商業コミュニケーションのメディアです。
印刷物は、マーケティングで様々に活用されている
マーケティングでは、今も様々な印刷物が活用されています。マーケティングというと、「広告」がすぐに想起され、「店頭販促物」「雑誌広告」「新聞広告」が印刷物の代表に思えます。しかし、下の表のように、多様な印刷物がマーケティングで活用されています。
活用の種類 | 具体例 | 強み |
ダイレクトメール | カタログ、チラシ、サンプル | 個人への直接的アプローチ 高い開封率 触覚的体験の提供 |
店頭販促物 | ポスター、POP、パンフレット | 購買時点での訴求力 視覚的インパクト 商品情報の詳細提供 |
企業パンフレット | 会社案内、製品カタログ | 信頼性の向上 詳細情報の提供 長期保存可能 |
雑誌広告 | 専門誌広告、一般誌広告 | ターゲット層への確実な到達 高品質な視覚表現 長時間の接触機会 |
新聞広告 | 全面広告、折込チラシ | 広範囲への到達 信頼性の高さ 地域ターゲティング |
パッケージ | 商品パッケージ、ギフトボックス | ブランドイメージの強化 商品価値の向上 購買意欲の喚起 |
ノベルティ | カレンダー、手帳、文具 | 長期的な露出 実用性による好感度向上 ブランド認知の維持 |
イベント関連 | チケット、パンフレット、看板 | イベント体験の強化 記念品としての価値 情報の携帯性 |
名刺 | ビジネス用名刺、ショップカード | 人的ネットワーク構築 ブランドイメージの伝達 接触機会の創出 |
印刷会社の事業も、デジタル化で変化している
上記の「雑誌広告」「新聞広告」は、以前よりマーケターの方の利用機会、または出稿金額が減少しているかもしれません。その理由は、もちろんデジタル・メディアの出現です。
このデジタルの影響は、印刷会社にも現れています。印刷会社の印刷機も、今はデジタル印刷機が増えています。少し、印刷会社の事業の変遷を整理すると以下のようになるのでしょうか。
従来型の印刷時代(〜1990年代)
輪転機による大量印刷が主流
紙媒体が情報伝達の中心
大量生産・大量消費モデル
デジタル化の始まり(1990年代後半〜2000年代前半)
デジタル印刷機の登場
オンデマンド印刷の可能性が広がる
インターネットの普及により、情報伝達手段の多様化
デジタルメディア時代(2000年代後半〜現在)
スマートフォンやタブレットの普及
電子書籍、ウェブコンテンツの台頭
印刷物の需要減少
印刷会社のサービス多様化(デジタルマーケティング支援など)
この従来型の印刷時代は、とても長い期間でした。1870年から1880年頃に、今の大日本印刷や、凸版印刷が設立したことを起源とすると、約100年間は、「従来型の印刷時代」でした。
それが、1990年以後、デジタルの登場という、小さな波紋により、印刷会社には、何度も大きな波が訪れ、多くの印刷会社が、今後も残る印刷事業の模索と、実践を行なっています。
私としては、日本の質の高い印刷は、マーケティングの武器として残って欲しいのですが、とても大変な道のりかもしれません。
20204/10/23JAGAT大会で、印刷会社の経営者の方と議論します。
印刷会社の経営者の方と、「印刷ビジネスの生き残り」について、パネルディスカッションで議論させていただくことになりました。
日時
2024年10月23日(水) 14:00-17:30
開催方式
ウェビナーと会場参加のハイブリッド
パネルディスカッションのテーマ
page2025「共奏」に向けて
-印刷ビジネスの生き残り(策)-
パネルディスカッションの登壇者
モデレーター
JAGAT 専務理事 郡司 秀明さま
スピーカー
JAGAT 副会長(東洋美術印刷株式会社 社長) 山本 久喜さま
奥村印刷株式会社 取締役常務執行役員 山田 秀生さま
JAGAT 特別研究員 笹沼 信篤さま
株式会社マーケティングサイエンスラボ 取締役所長 本間 充
詳細と申し込み
ぜひ、印刷会社の経営者の方、印刷をマーケティングに活用している広告代理店の経営者の方は、ご参加ください。
少しだけ私の会社を紹介
当日の話の内容は、印刷会社の経営者のお考えを拝聴しながら行います。が、少しだけ私が、今後の印刷会社の事業について、考えを整理すると、以下の2点が重要なテーマになると考えています。
高付加価値印刷
特殊印刷技術(立体印刷、香り付き印刷など)の開発と提供
セキュリティ印刷(偽造防止技術など)の強化
高品質なアート印刷やフォトブック制作サービス
コンサルティング機能の強化
マーケティング戦略立案支援
ブランディングコンサルティング
データ分析・活用のサポート
シンプルな言葉で言い換えると、印刷会社は、「製造会社」から、「ソリューション提供会社」に変わると、今後も成長するのではないかと思います。
おそらく、この所長のBlogを読んでいるマーケターの中には、印刷のマーケティング活用を1mmも考えたことがない人もいるのでしょう。そのマーケターに、印刷を活用したマーケティングのソリューションを提供するのが、今後の印刷会社の役目なのかもしれません。
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