アプリ版とWeb版:Microsoft Copilot(コパイロット)の最適な使い分けガイド
- 本間 充/マーケティングサイエンスラボ所長

- 11 分前
- 読了時間: 8分
Windowsユーザーにとって、Microsoft Copilot(コパイロット)は日々の作業を効率化する強力なパートナーとなりつつあります。しかし、「WindowsアプリのCopilot(コパイロット)」と「ブラウザからアクセスするWeb版Copilot」、どちらを使えばいいのか迷ったことはありませんか?
両者とも基盤となるAIモデル(GPT-4oやDALL·Eなど)は共通していますが、その機能、ファイル処理、そしてシステムへの統合度には明確な違いがあります。この記事では、それぞれの特徴を深掘りし、あなたの作業スタイルに合ったCopilot(コパイロット)の選び方をご紹介します。

ファイル形式と処理:どこまでできる?
まず、Copilotが対応するファイル形式について見ていきましょう。
共通して対応するファイル形式(無料版)
無料のWindows CopilotアプリとWeb版Copilotのどちらも、以下の一般的なファイル形式を直接アップロードして、AIによる分析、要約、またはプロンプトのコンテキストとして利用できます。
ドキュメント: PDF, DOCX, XLSX, PPTX
画像: PNG, JPEG, PJP, JFIF
テキストとマークアップ: TXT, TEXT, JSON, CSV, MD
一度の会話で最大20ファイルをアップロードでき、各ファイルのサイズは最大50MBまでという制限があります。
有料版(Microsoft 365 Copilot(コパイロット))の大きなアドバンテージ
無料版の間でファイル形式に大きな違いはないものの、有料の「Microsoft 365 Copilot」は、ファイル処理において圧倒的な機能差を見せつけます。
Microsoft 365アプリとの深い統合: Word、Excel、PowerPointなどのMicrosoft 365アプリ内でCopilotが直接動作します。これにより、明示的なファイルアップロードなしで、現在開いているドキュメントをレビューしたり、要約したり、データ分析を行ったりすることが可能です。
組織データへのアクセス(Microsoft Graph): 有料版は、Microsoft Graphを活用し、ユーザーの組織データ(メール、チャット、会議、OneDriveやSharePointに保存されたドキュメントなど)にアクセスできます。これにより、個人の作業環境に合わせた、より文脈に沿った回答を提供できます。無料版は、アップロードされたファイルやチャットで提供されたコンテンツのみを処理します。
「仕事」と「Web」の切り替え: Microsoft 365 Copilotライセンスを持つユーザーは、Copilotチャットインターフェース内に「仕事」タブと「Web」タブを見つけることができます。「仕事」タブでは組織の内部データに基づいた応答を、「Web」タブでは公開されているインターネット情報に基づいた応答を提供します。無料版のCopilotにはこの区別はありません。
ファイルサイズ制限の緩和: 消費者アカウント(無料版やCopilot Proを含む)ではファイルサイズが1ファイルあたり最大50MBですが、企業や学校アカウント向けのMicrosoft 365 Copilot Chatでは、1ファイルあたり最大512MBという大幅なサイズまで対応し、より大規模なファイルベースのワークフローを可能にします。
複数ファイルの統合分析: 最近のアップデートにより、CopilotのWeb版とWindows 11アプリの両方で複数ファイルの分析が可能になりました。消費者版Copilotでは一度に最大3ファイルまでを統合的に処理し、複数の文書を横断して推論を行うことができます。
主要機能の比較:アプリ版とWeb版、そして有料版
どちらのCopilotもGPT-4oやDALL·Eといった最先端のAIモデルを基盤としているため、基本的なAI機能は共通していますが、プラットフォーム固有の機能には違いがあります。
共通のコアAI機能
質問への回答、テキスト生成、画像生成、詳細な調査。
テキスト、音声、画像によるマルチモーダル入力。
会話履歴の保存と利用によるパーソナライズ。
情報の引用元が明示された検索結果。
C、JavaScript、Pythonなどのプログラミングコードの作成や修正。
アプリ版(Windows Copilotアプリ)の独自機能
OSとの深い統合: タスクバーから直接アクセスできるほか、新しいキーボードの専用Copilotキーで起動できます。
Windowsの音声コマンド: Windows内で音声コマンドを利用できます。
ファイル検索: PCに保存されているファイルを会話形式で検索し、内容について議論できます。
Copilot Vision(画面ベース): デスクトップ版では、許可を得てWindows画面のコンテキスト(開いているドキュメントやブラウザウィンドウなど)を「見て」情報を解釈・提供します。
Web版(Microsoft Edge内のCopilotモード)の独自機能
ブラウザ全体をAI化: Edgeブラウザの「Copilotモード」は、ブラウザ自体をAI搭載ツールに変え、ブラウジング体験を最適化します。
複数タブ分析: 複数の開いているタブのコンテンツを分析・比較し、情報を要約したり、タスクを支援したりできます。
ダイナミックペイン: Copilotと対話しながらも、現在のウェブページのコンテキストを維持できます。
ブラウザアクション: ユーザーのコマンドに基づいて、ウェブページの開閉や特定の情報検索など、複数ステップのブラウザアクションを実行できます。
AI搭載の新しいタブページ: チャット、検索、ウェブナビゲーションを効率的に開始できる新しいタブページを提供します。
動画翻訳とキャプション: Edge内では、YouTube動画を含むあらゆる動画のリアルタイム翻訳やキャプション機能を利用できます。
モバイル版Copilotアプリの独自機能
モバイルOutlook統合: モバイルデバイス上でメールの生成や要約が可能です。
Copilot Vision(カメラベース): モバイル版ではカメラアイコンをタップすることでCopilot Visionが起動し、デバイスのカメラを通して見える現実世界の情報を解析して提供します。
Microsoft 365 Copilot(有料版)のエンタープライズ機能
ドキュメント作成: Wordで文書の草稿を作成したり、セクションを書き換えたり、長いテキストを要約したりします。
データ分析: Excelでデータについて自然言語で質問し、数式を生成したり、ピボットテーブルを作成したり、グラフを生成したりします。
プレゼンテーション作成: PowerPointでアウトラインや文書からプレゼンテーションを作成し、レイアウトを提案したり、視覚要素を追加したりします。
メール管理: Outlookで長いメールスレッドを要約したり、トーンに基づいて返信の草稿を作成したりします。
会議の強化: Teams会議の情報を提示したり、リアルタイムで会議を文字起こししたり、参加が遅れた人向けに要約を提供したりします。
仕事データへのアクセス: ユーザーの仕事のメール、チャット、ドキュメントなど、Microsoft Graph内の情報に基づいて応答を生成します。
制限事項:アプリ版とWeb版の注意点
両バージョンとも強力ですが、それぞれに特有の制限や注意点があります。
Windows Copilot(デスクトップ)の制限
Windows 10での互換性: Windows 10ではHomeまたはProエディションでのみ利用が制限されます。
PC設定の直接変更不可: 現在、デスクトップ版Copilotアプリは、ライトモードとダークモードの切り替えなど、PC設定を直接操作することはできません。
Copilot+ PC専用機能: 「Click to Do」や「Windows Recall」のような一部の高度な機能は、AI処理専用のNPU(ニューラルプロセッシングユニット)を搭載したCopilot+ PCに限定されます。
Microsoft Edge内のCopilot(ブラウザ)の制限
Edgeブラウザへの依存: フル機能を活用するにはMicrosoft Edgeに「縛られる」ことが最大の制限です。他のブラウザを好むユーザーには不便かもしれません。
ブラウザ外での利用制限: ブラウザ環境の外ではその価値が限定され、デスクトップ版のような広範なシステム操作はできません。
音声チャットの制限: ブラウザ内での音声チャットは、ブラウザの権限やセッションコンテキストによって若干制限されることがあります。
会話の長さ制限: Edge以外のブラウザでは、Copilotとの会話が約4メッセージに制限されることがあります(Edgeでは30メッセージ)。
将来的なサブスクリプションの可能性: EdgeのCopilotモードなど一部の機能は「期間限定無料」と明記されており、将来的にサブスクリプションが必要になる可能性があります。
機能の一貫性の欠如: 音声プロンプトで画像やテキストを生成する際に、通常のWebインターフェースに切り替わり、「Search & Chat」や「Action」オプションが失われるといった、機能の一貫性の問題が発生することがあります。
共通の制限事項
インターネット接続必須: すべてのAI機能はクラウド処理に依存するため、安定したインターネット接続が必要です。オフラインモードはありません。
精度: AIツールであるため、生成される出力に誤りや不正確な点が含まれる可能性があります。情報の確認は常にユーザーの責任です。
アカウント必須: 一部の機能を利用するには、MicrosoftアカウントまたはEntra IDが必要です。
地域と言語の利用可能性: 利用できる機能やサービスは、地域や言語によって異なる場合があります。
画像生成の制限: Microsoft 365 Copilotライセンスを持たないユーザーは、AI画像生成に日次制限がある場合があります。
まとめ:最適なCopilotはあなたの使い方次第
Microsoft Copilotのアプリ版とWeb版は、同じAIの力を持ちながらも、それぞれ異なる利用シナリオに最適化されています。
Windows Copilotアプリは、オペレーティングシステム全体にわたるタスクやローカルファイルとの連携に優れています。PC上のファイルを検索したり、画面上の情報をAIに分析させたい場合に強力な味方となります。
Web版Copilot(特にEdge内)は、ウェブブラウジング体験をAIで強化することに特化しています。複数のウェブページをまとめて分析したり、ブラウザでの複雑なアクションを自動化したい場合にその真価を発揮します。
そして、Microsoft 365 Copilot(有料版)は、Microsoft 365アプリケーションとの深い統合と組織データへのアクセスにより、ビジネス環境での生産性を飛躍的に向上させます。
あなたの主要な作業が何か、どのような情報にアクセスしたいのかによって、最適なCopilotの使い方は変わります。これらの違いを理解し、あなたのデジタルライフをよりスマートで効率的なものにしてください。




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