マーケティングライブ308:東急「URBAN HACKS」に学ぶ、リアル×デジタルの街づくり戦略と大企業DXを成功に導く「内製化」の極意
- 本間 充/マーケティングサイエンスラボ所長

- 7月15日
- 読了時間: 9分
1. 導入:デジタルとリアルの融合がもたらす、現代ビジネスの新たな挑戦
現代のビジネス環境において、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を聞かない日はありません。しかし、多くの大企業や伝統的な組織において、DXは単なる「ITツールの導入」や「業務の効率化」といった、手段の目的化に留まっているのが現状ではないでしょうか。本来のDXとは、デジタル技術を駆使して顧客体験(CX)を劇的に向上させ、新たな顧客価値や集客の仕組みを創出する「ビジネスモデルの変革」そのものであるはずです。
特に、リアルなアセット(資産)を強みとしてきた企業にとって、デジタルとの融合は極めて高いハードルとなります。歴史が長ければ長いほど、既存の成功体験や縦割り組織の壁が立ちはだかり、イノベーションのスピードは鈍化しがちです。
こうした課題に対して、全く新しいアプローチで挑み、目覚ましい成果を上げているのが東急グループです。彼らが立ち上げたグループ横断のDX内製開発組織「URBAN HACKS(アーバンハックス)」は、伝統的な「街づくり」にデジタルの力を掛け合わせ、沿線の暮らしをアップデートするという壮大なミッションを掲げています。
本記事では、最先端のマーケティング戦略やビジネスの知見を届ける番組「マーケティングライブ308」での講義内容を基に、URBAN HACKSを率いるリーダーの視点から、これからの時代に必要な「リアル×デジタルの融合戦略」と「組織変革の極意」を深掘りします。
2. 番組概要と出演者紹介:「マーケティングライブ」で明かされる巨大組織の変革劇
ビジネスパーソンやリーダー層に向けて、実践的なマーケティング戦略や集客のヒントを発信し続けている番組「マーケティングライブ」。今回の放送では、東急株式会社 URBAN HACKS シニアマーケティングプロデューサーである長谷部竜也氏が登壇し、東急グループが挑む壮大なWebサイト・アプリの統合プロジェクト、そして「URBAN HACKS」の全貌について熱く語られました。

長谷部竜也氏は、複雑に絡み合う東急グループの多様な事業セグメントにおいて、デジタルマーケティングの戦略立案から実行までを一手に担うプロフェッショナルです。
東急グループは、交通(鉄道・バス)、不動産、ホテル、商業施設、クレジットカード、エンターテインメントなど、人々の「暮らし」に関わるほぼ全てのリアルアセットを網羅する巨大企業群です。しかし、これら強力なアセットを保有しているがゆえに、それぞれの事業が独立したサイロ(縦割り)状態になっており、顧客から見ると「東急のサービスなのに、それぞれ別々に登録やログインをしなければならない」という、デジタル上の分断が生じていました。
長谷部氏は、この「縦割りのデジタル接点」を統合し、シームレスな顧客体験を構築するという極めて難度の高いミッションに挑んでいます。「マーケティングライブ」では、単なる理想論としてのDXではなく、実際に組織をどのように動かし、どのようなロードマップで開発を進めていったのかという、生々しくも再現性の高いビジネス戦略が明かされています。長谷部氏の専門的かつ情熱的な語り口は、組織のデジタルシフトや新規事業開発、効果的な集客戦略に悩むすべてのリーダーにとって、暗闇を照らす灯台のような役割を果たしてくれます。
3. 【核心】番組「マーケティングライブ」を見て欲しい理由:URBAN HACKSが示すDXの最適解
数ある大企業のDX事例の中で、なぜ東急の「URBAN HACKS」がこれほどまでに注目され、ユニークだと言われるのでしょうか。そして、なぜビジネスパーソンは今すぐ「マーケティングライブ」を視聴すべきなのでしょうか。その核心となる理由を、彼らのミッション、独自のロードマップ、そしてスタートアップさながらの組織文化という3つの視点から徹底解説します。
① 「東急グループの資産をハックして、より豊かな暮らしをつくる」という明確なミッション
URBAN HACKSの根底にあるのは、「デジタルだけで完結するサービスを作るのではない」という強い意志です。彼らは、東急が100年の歴史の中で築き上げてきた鉄道や商業施設、ホテルといった「リアルの圧倒的な強み」を理解しています。
その上で、これらのリアルアセットにデジタルの技術・ノウハウを掛け合わせ、スマートフォンと同じくらい生活に溶け込み、毎日自然に使われる体験をデザインしようとしています。これは、単なる「業務効率化のためのDX」ではなく、顧客の行動を促し、沿線全体の価値を高めて持続的な集客を実現するための「マーケティング戦略としてのDX」なのです。
② 段階的なCXアップデート戦略:「点」から「線」、そして「面」へ
URBAN HACKSの最も優れた点は、急進的で無理な変革を急ぐのではなく、綿密に計算された「段階的なロードマップ」を実行している点にあります。この戦略は、あらゆるビジネスの成長プロセスに応用可能です。
「点」のフェーズ(短期:個別の磨き込み)
まずは、顧客との個別のデジタル接点(アプリやWeb)を徹底的に磨き上げること。立ち上げ初期の1年で、彼らは「東急線アプリ」「東急カードアプリ」「東急ホテルズアプリ」という、生活に密着した3つの主要アプリを新規開発・フルリニューアルしました。これにより、まずは個々のサービスにおける顧客体験の質を劇的に向上させました。
「線」のフェーズ(中期:サービス間の連携)
次に、磨き上げた「点」のサービス同士を繋ぎ、連携をスムーズにする段階です。その象徴的な取り組みが、クレジットカードやQRコードによるシームレスな乗車を可能にする「Q SKIP(キュースキップ)」の共創・開発です。交通とキャッシュレス、そして街での買い物が一本の「線」として繋がる体験を提供し始めています。
「面」のフェーズ(長期:共通IDとパーソナライズ)
最終的には、共通ID「TOKYU ID」を展開し、顧客基盤を共通化。ユーザーが東急沿線にいるだけで、移動、買い物、エンタメ、暮らしのサービスまでが一体となり、個々にパーソナライズされた心地よい体験が「面」として提供される世界を目指しています。
この「点・線・面」のステップを踏むことで、組織に過度な負担をかけることなく、確実な成果を積み重ねながら全体の統合へと向かうことができます。

③ 大企業の中に「ITスタートアップ」の文化を宿す
URBAN HACKSが「ユニーク」と評される最大の理由は、その組織作りにあります。
一般的な大企業のように開発を外部のベンダーへ丸投げ(アウトソーシング)するのではなく、エンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャー(PdM)などの高度なデジタル人材を直接採用し、自社で企画から開発まで一気通貫で行う「徹底した内製化」を構築しました。
そして、彼らの評価軸は「システムを無事にリリースしたか(Output)」ではなく、「それによってユーザーの体験や街の暮らしがどう変わったか(Outcome)」に置かれています。
さらに、100年の歴史を持つ鉄道会社としての「完璧・安全第一」という絶対的なリアル側の文化を尊重しつつ、デジタル開発においては「失敗を恐れず、素早く試して改善する」アジャイル精神を共存させることに成功したのです。
「マーケティングライブ」を視聴すれば、この伝統と革新、リアルとデジタルという一見相反する二つの要素を、どのようにして一つの組織の中で融合させたのか、その具体的なメカニズムを深く学ぶことができます。
4. 学びを日常に活かすポイント:あなたのビジネスをアップデートする3つの実践アクション
「マーケティングライブ」で語られる長谷部氏とURBAN HACKSの戦略は、決して大企業だけに閉じた話ではありません。中小企業の経営者、新規事業担当者、マーケター、そしてチームを率いるリーダー層が、明日からのビジネスに活かせる具体的なアクションプランに落とし込むことができます。
アクション1:「Output(成果物)」の呪縛から脱却し、「Outcome(顧客体験の変革)」を定義する
日々の業務において、「新しいWebサイトを公開した」「SNSのアカウントを開設した」「キャンペーンを実施した」という、目の前の「Output」だけで満足していませんか?
これからは、それらの施策によって「顧客の行動がどう変わり、どんな心地よい体験(Outcome)が生まれたか」を、プロジェクトの成否を測る真の指標(KPI)に据えてください。集客の成功は、この「Outcome」へのこだわりからしか生まれません。
アクション2:自社ビジネスの「点・線・面」ロードマップを描いてみる
自社が提供しているサービスや、顧客との接点を「点・線・面」のフレームワークで整理してみましょう。
点
今、最も改善すべき顧客接点(ホームページ、店舗の接客、メルマガなど)は何か?
線
それらの接点をどのように繋げば、顧客はストレスなく自社のサービスを回遊できるか?
面
最終的に顧客の生活のどのようなシーンを「面」としてサポートし、手放せない存在になれるか?
このロードマップを描くことで、単発の集客施策に終わらず、顧客生涯価値(LTV)を最大化する一貫したマーケティング戦略を構築できるようになります。
アクション3:「アジャイル精神」を自分のチームにスモールステップで導入する
「完璧な計画ができるまで実行しない」という文化から、「まずは最小限の形でリリースし、顧客のフィードバックを得ながら高速で改善していく」というアジャイルなアプローチへ、チームの働き方をシフトしましょう。
例えば、新しいキャンペーンを大々的に打ち出す前に、一部の顧客を対象にテストマーケティングを行い、その反応を見てクリエイティブやメッセージを最適化していくといった「素早い試行錯誤」は、どのような規模のビジネスでも今日から実践可能です。
5. まとめ:リアルとデジタルの融合が、未来のマーケティングを創る
東急グループの「URBAN HACKS」が体現しているのは、テクノロジーを単なる効率化の道具として使うのではなく、人々のリアルな暮らしをより豊かに、そして面白くハックするための「強力な武器」として位置づける姿勢です。
彼らの挑戦は、スマートフォンの画面の中だけで完結するサービスではありません。駅で電車に乗り、商業施設で買い物をし、ホテルに泊まるといった「リアルな体験」そのものをデジタルで滑らかに繋ぎ、沿線価値を高め、持続可能な集客とビジネスの成長を実現する、究極のエリアマーケティング戦略と言えます。
「マーケティングライブ308」の放送では、この変革のリアルなプロセスが、シニアマーケティングプロデューサーの長谷部竜也氏の口から詳細に語られています。大企業のDX推進担当者はもちろん、これからの時代を生き抜くマーケティング戦略を模索しているすべてのビジネスパーソンにとって、URBAN HACKSの「点から線、そして面へ」という思想と、それを支える「内製化」の組織づくりは、最大のインスピレーションとなるはずです。
今すぐ番組を視聴し、あなたのビジネスや組織を「ハック」するための具体的なヒントを掴み取ってください。
6. 番組URL
本記事で紹介した「URBAN HACKS」の具体的な取り組みや、長谷部竜也氏による貴重な講義の全編は、以下のリンクからご視聴いただけます。
マーケティングライブ 放送講座URL
[https://player.aircamp.us/content/61272?playlistId=16937]
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